建築家と建てる住宅記録

住宅に関することあれこれ

工務店の選定について①

実施設計まで完了したら次は工務店探しです。

いくら完璧な設計を行っても、実際に建てるのは工務店(大工さん)で、その仕上がりによって家の評価は全く違ったものになるでしょう。

そんな大事な工務店選び、個人的選定ポイントは以下の通りです。

住宅ローンが通る、財政的に問題のない工務店であること。
→問題があるとローンが通りません。

②建築家の家を建てたことがあること。
→経験が多いほど一般的にはポイント高し。
契約している建築家の家を建てたことがある工務店ならなお良いです。
また、建築家専門の工務店も存在します。(わが家がそうです。)

③過去に建てた家の中に、建てようとしているの家の雰囲気に近いものがあること。
→工務店にも得手不得手があります。

④工務店が現場に近いこと。
→隣県くらいを目処に。

⑤見積りが詳細かつ適正であること。
→素人目では難しいですが、他社と見比べてみることで少しずつ見えてきます。
また、建築家とよく相談しましょう。

工務店の探し方については次の記事にて。

空調や換気や床暖房

基本的な構成
・壁面給気口から自然給気
・トイレ・キッチン・浴室から局所機械排気(換気扇)
・居室に壁掛けエアコン
・床暖房なし

上記で問題なく生活は出来ますが、こだわると結構コストが掛かる部分です。

《換気》
大手ハウスメーカーなどは、それぞれ独自の換気システムを持っているところが多いです。
種類が多く、また単純に比較できないので、正直どれが良いか分かりません。

ただ、体験した中では給排気を機械でコントロールする第1種換気で、全館空調が備わっている家は、部屋ごとの温度差がなく快適でしたね。

《エアコン》
見た目をすっきりさせたいならビルトインですね。

ただ本体コスト、設置コストが壁掛けよりも高いです。
あとメンテナンス性や買い替えがしづらい点も注意。

壁掛けだと、設置箇所数が多い場合、ビルトインよりもコストアップする可能や、配管が外壁に多く露出し美観を損ねる可能性、室外機を基本台数分設置するスペース的な問題があるという点で注意が必要です。

壁掛けの室内機は、収納に格納し使用するときだけ扉を開けるようにし、見た目をすっきりさせるような工夫も見られます。
ルーバーで軽く目隠しさせる施工例もありますね。見た目は良いですが冷暖房能力に影響はないのだろうか…。

《床暖房》
予算が許すなら是非導入をお薦めします。
冬場に裸足でいられるのは快適です。

床暖房は、電気式と温水式があります。
一般的に電気式の方が設置コストが安いとされていますか、設置面積が広い場合は温水式の方が安くなるようです。

ちなみに一条工務店は全面床暖房が標準らしく、訪問したときはスリッパいらずでとても快適でした。

浴室はユニットか造作か

現在の住宅では、大半がユニットバスです。

浴室に予算をかけなければ、建築家設計でもユニットバスが多いです。

コストと防水性、メンテナンス性から考えれば、自とユニットバスになるのでしょう。

2階以上に浴室を造る時も、やはり防水面からユニットバスを選ぶことが多いようです。

凝った方はユニットの上にタイル貼りをするようですが、これはとんでもなくコストがかかります。

そんな特殊な例はあれど、通常のユニットバス、どうも味気なく感じます。

防水面を考慮した設計で、浴槽やシャワーを自由に選び、また天井・壁・床にも独自の仕上げをする…憧れます。

浴室に限らず、水回りはとてもお金が掛かる部分。

予算の範囲内で優先順位をつけて、予算が許せば是非造作浴室を採用されることをお薦めします。

後は信頼できる工務店にしっかりとした施工をしてもらうよう、祈るだけです。

『家の格』とは

人のお家に伺って、『良い家だったなあ』と思ったことはありませんか?

私は、お家に伺ったときの家の印象とは、『建物』のみで決まるものではないと思っています。

家の印象=『格』とは、自身の経験から、次の3つで決まるのではないかと考えます。

1 建物自体
2 インテリア
3 住まい手

1の建物自体は、外観・内装・構造・設備などの内容により印象が形成されると考えます。
更ににそれらの『魅力』=『美しさ』『佇まい 』『情緒』『風情』といったものが印象に大きく関係してくると思われます。

2のインテリアとは、家具や照明などです。
インテリアのチョイスからレイアウト・量など、住まい手のセンスが最も顕れる部分だと思います。
インテリアは外観には影響しませんが、内部空間においては非常に大きな印象を与える要素です。

3の住まい手とは、その『人柄』が、建物の印象に大きく影響を与えるものと考えます。
実際に人が住んで初めて家は完成するものです。

あくまで持論ですが、ここで面白いと思うのが、この3つの要素の内、2つが最高に良い印象であっても、1つの要素が最低に悪い印象だと、全体の印象としては最低に近いものになるということです。

人の印象のために家を建てる訳ではありませんが、多くの人に良い印象を持ってもらえる家というのは、住まい手にとっても満足度の高い家であると信じています。

そういった『良い家だったなあ』と思ってもらえる、『格の高い家』になれたら良いな、と常々思っています。

地盤強化費用は運まかせ?

掛かるかも、掛からないかもしれない費用、地盤強化。

古家があっても安心はできません。

一旦掛かると判明したときは、軽微なもので100万円、結構な軟弱地盤対策で200万円程掛かるようです。

これは建坪16坪(50平米)程度2階建木造(100平米)のごく一般的な広さの場合で、建坪によっても当然変わります。
あと建物の構造や階数によっても変わってくると思われます。
参考・重い建物→地盤強化リスク増、軽い建物→地盤強化リスク減

地盤調査を行ってから土地購入をするのが理想的ですが、古家が有ったり、更地でも購入を急がなければならなかったりで実際は購入後に行うことが多いのではないでしょうか。

簡易なSS式という地盤調査方法でも10万円程度は掛かるので、無闇やたらに依頼はできません。

購入しようとしている地域の地盤については、調査会社などのHPに掲載されていることがありますので、ある程度参考にはなります。

しかし絶対ではなく、硬いと思っていたエリアでも地盤強化の必要な土地があったり、その逆もしかり。
(参考・高台で平地はリスク減、水辺近くや低地はリスク増)

実際は土地購入後に調査を行うことが多いと思われますので、建物の予算には100万円程度地盤強化費用として見積もっておくことを強く薦めます。

後になるほど予算を上げていくことは大変ですので当初から予算に盛り込み、結構的に地盤強化不要だった時は純粋にその分マイナスにするか仕上げや設備に回せばよいのです。

地盤強化については建物の寿命を大きく左右する非常に大事な要素のため、くれぐれもけちることの無いようにしましょう。
まあ必要な地盤強化費用をカットすることをOKする建築家はいないと思いますが…。

設計2 実施設計

基本設計が終わったら次に実施設計に移ります。

ここでは、各箇所の詳細を決定していきます。
(間取り・仕上げ・設備・水回り・建具・外構などなど)

基本設計+『施主の要望を取り入れた建築家からのプラン』に対して施主側が回答し、修正を何度か繰り返しながら完成に近づけていきます。

基本設計よりも細かくなっていくので、より現実味が出てくる一方、決めて行かなければならないことも多くなっていきます。

また、膨らみすぎた要望の結果、予算をオーバーしてしまう可能性が高い時は、コストを絞ったプランニングが必要となってきます。

私もこの工程でいくつか要望を諦めました。

ここまできたら、次は契約をする工務店候補を決めていく工程に移っていきます。

家の間取りについて(動線と余白)

キーワードは『動線』と『余白』

動線
→特定の行為を行うにあたり、人の動きを線で表したもの。

★ex.洗濯の動線

洗濯物が入った洗濯籠を取りにいく
→洗濯機に洗濯物を入れ、洗濯機を起動する(乾燥も同時に行う。行わない場合は洗濯物干しの工程が加わる。)
→洗濯物を取り出す
→洗濯物をたたむ場所に移動し、たたむ
→アイロンをかける場所に移動し、アイロンをかける
→洗濯物を収納場所にしまいにいく

動線は短いほど効率的であると言えます。

いろんな動線があり、それらを行う頻度の高いものから優先して採用していくと、自分にとって快適な間取りになるのではないでしょうか。

しかしながら、効率的な間取りのみで構成されたものが最良な空間である、とは言いきれないところが建築の奥が深いところです。

そこで重要になってくるのが『余白』の存在。

個人的に、程よい『余白』は、ゆとりを感じさせてくれるので好きです。
ex.リビングの余白、玄関の余白、踊場の余白、ホールの余白…

余白を生み出すためには、設計もさることながら、物を溢れさせないことが重要になってきます。

『少ないほど豊か』とは著名な建築家のお言葉ですが、私にとって大いに共感する言葉です。
物が溢れる現代において、また、ずぼらで物を貯めこんでしまうことのある私にとっては忘れてはならない言葉です。